旅の絵模様
2010.08.10
旅先の何気ない光景は決して言葉には表わすことはできない。カメラでさえ、その風情を留めることはできない。
懐かしい光景。遠い昔の少年の日、田舎のおばあちゃんが迎えにくるようだ。
無人駅で電車を待つ中年夫婦。穏やかな海の情景は時間の過ぎるのを忘れさせる。
七月末の北海道。時折見える向日葵畑。飲食できる店が全くなく、ひたすら車を走らせた。
太刀持ちのように池の周りに控える桜の木々。日本の風情を当然のように保つ誇りを桜の佇まいから感じられる。
青空の下の富士山を見るのは意外に難しい。期待していない時に突如、その雄姿を現してくれる。
家からそれほど離れていない公園にて。野鳥を撮っている合間に突然現れた。
数年前、奥多摩の谷間を降り立った時の一コマ。秋口の青々とした空気は独りで佇むには切ない。
あと少しで冬を迎える谷間の岩の苔。場所によっては苔さえ鮮やかに映る。
人がいないのに暖かく感じられるのはなぜだろう。遠い記憶が呼び起こす暖かい温もり。
緑や黄色い葉や茶色い幹があってこそ紅葉は美しい。
枯れていくほど暖かくなっていく。
落ちてなお、魅せる
2010年8月作