青春TVドラマ「俺たちの旅」の鑑賞記録。
1.プロローグ
はじめに
その後、何度も再放送を観たが、昨年末に思い切ってブルーレイ全6巻を買って何度も見返した。
自分の人生に感化されたドラマだったと改めて思うと同時に、50代で観て新たに感じ取れることが多かったのが、嬉しい発見だ。
リアルタイムから見ていたファンにとっても、若い世代で再放送等で知ったファンにとっても同じ思いだろう。
斎藤光正監督は2012年に亡くなられた。
10年に一度のスペシャル版は2003年「30年SP 三十年目の運命」が最後だ。
もう新たなスペシャル版はもう製作されないだろう。 多くのファンの人生に影響を与え、今も愛され続けている「俺たちの旅」。
私なりに「俺たちの旅」製作にかかわったすべての方々への感謝の意であると同時に、
ファンが時々振り返るための”立ち寄りの場“として、拙い”感想記“をまとめてみた。
ここに立ち寄る方々の何かの足しになれば幸いである。
当時の”青春ドラマ“番組について
日本テレビ系で1975年10月5日から約1年間、46回にわたり日曜の夜に放映されたTVドラマ「俺たちの旅」。
昭和の青春ドラマの傑作として語り継がれ、今まで何度も再放送され、DVDやブルーレイも発売されている。
初放映の時、自分は小学校6年生の時だった。
さかのぼること、その前から同じ日本テレビで続いていた青春ドラマを熱中して観ていた。
1972年に始まった村野武範主演の「飛び出せ!青春」。まずこれにはまった。
小学生の子供心に、“高校生になったら、こんな熱い毎日の青春時代を送れるんだ”と勘違いの始まりとなったTV番組だ。
続いて1974年に始まった「われら青春!」。
これが中村雅俊初主演作となる記念作品である。「飛び出せ!青春」の村野武範同様、中村雅俊も高校の先生役で登場した。主題歌の「ふれあい」も歌い、この曲は大ヒットとなった。
そんな高校学園モノ青春ドラマ2連発にすっかり打ちのめされたところで、新たに放映されたのが「俺たちの旅」だった。
異色の青春ドラマ
新しく始まった「俺たちの旅」は、それまでの「われら青春!」といった学園ドラマとは
一線を画すドラマだった。
まず主人公たちが高校生でなく、卒業間際の三流大学生であったこと。
明るい熱血な青春一色のドラマでなく、就職を控え社会に出ていく葛藤を描く青春ドラマだったのだ。カースケ(中村雅俊)、オメダ(田中健)、グズ六(津坂まさあき(当時)現・秋野太作。当HPでは以下、秋野太作で統一)の三人が演じる面白おかしいだけじゃない青春時代のリアリティが色濃くあぶり出され、観る人の心に残るドラマになったのであろう。そして当初は半年間で大学卒業までの予定が、高視聴率がゆえに、もう半年間延長となり、社会人生活も描かれることになった。
そして根強い人気は放映終了後も続き、約10年間隔で3回スペシャル版が放映され、それぞれ主人公たちの30代、40代、50代の生き様が描かれた。
スペシャル版3編は、“青春”を卒業した年代の生々しい大人の現実の葛藤を描くドラマは、かつての”青春ドラマ”を期待する一部のファンの失望を買ったが、私はこの3回のスペシャル版を含めて「俺たちの旅」だと思っている。
本編では青春の素晴らしさと挫折がふんだんに描かれ、それでも自分らしく必死で生きようとする姿が、そしてスペシャル版ではその後の主人公たちの人生が青春時代のテーマを引きずりながら生きていく姿が描かれている。
TVドラマ史に残る本傑作は、放映後何十年経っても人々を魅了し続けているのだ。
当HPでは、リアルタイムで見た時の記憶、そして最近ブルーレイ全6巻を見て感じた感想や自分なりの勝手な解釈を書き連ねてみる。
当HPでは10ページに渡り、「俺たちの旅」についてまとめてみた。
本ページ「プロローグ」次いで「2. 本編1 – オープニング」では、「俺たちの旅」の強烈なインパクトのオープニングについて書いてみる。
カースケ演じる中村雅俊、オメダ演じる田中健、グズ六演じる秋野太作の3人の関係がよく伝わってくる名オープニングだ。
このオープニングがその後、数十年に渡り続く「俺たちの旅」の世界観を形づけている。
「3. 本編2 – 第一話~大学卒業編」は、第一話から大学卒業までの話について、印象的な内容を中心に書いてみた。もともとは大学卒業で終わりのはずだったが、人気が出たので延長になったという逸話が残されている。第25話を見ながら、”もしここで最終回だったら”と思うことがある。
25話までの学生編は、ほろ苦い青春の蹉跌を感じながらも明るい学生ドラマのテイストも程よいバランスで混じっていた、と思う。
「4.本編3 – 大学卒業~最終回編」は卒業後、カースケ、オメダ、グズ六が、それぞれバイトや会社勤めをしながら社会の荒波に苦しみ、後半から3人で会社を興して生きていくドラマだ。
学生編とは違い、社会で生きる辛さとの闘いの色彩が濃くなっていく。
当時も今もあまりない”社会人青春ドラマ”的だ。
当然、高校生青春ドラマよりもはるかに重い。しかし私のように年を重ねてから見ると、
”暗い”では切り捨てられない、”リアルな痛み”をうまく描かれている点に共感できるのだ。
脚本家の鎌田敏夫さん、畑嶺明さん等の脚本家陣、そして斎藤光正監督の構想力の賜物といえる。
最終回は日本のドラマ史上に残る決め方で、「俺たちの旅」をTVドラマの永遠の名作に仕立て上げた。
「5.十年目の再会」は最終回の後、10年後にスペシャル版で製作・放映されたドラマだ。
青春ドラマの続き、ということで多くのファンは30代であっても楽しく明るい青春ドラマを期待したと思うが、意外にも大人の30代の苦悩を描いたものだった。
放映当時は賛否両論あったと思うが、50代になった今から見ると、中途半端に”20代の人気TVのアンコール版”でお茶を濁さず、30代の大人の青春ドラマに仕立て上げたのは流石だ。
脚本家・鎌田敏夫さん、斉藤監督の”構想力”は、本編以上に、スペシャル版3篇で見事に発揮されるのである。
私は実際に鎌田さんにお会いしてスペシャル版についてお話を伺う機会をいただいたのだが、鎌田さんはこの「十年目の再会」を一番評価させていらっしゃったように感じた。
重い作品といえるが、とても深みのあるドラマである。そしてカースケと洋子の旅が新たに意識されるドラマともなっている。
「 6.二十年目の選択」はさらに10年後に製作されたドラマだ。
私はスペシャル版3篇の中ではこのドラマが最も好きだ。
カースケと洋子の旅という裏テーマが表に出たような作りにもなっている。
「7.三十年目の運命」は2003年に製作された。カースケ達も50代。そして洋子は死んだ設定になっている。後半は専ら”ロスト洋子”の様相を呈している。
秋野太作・演じるグズ六も白髪交じりで、「俺たちの旅」ファンも多くは人生後半を迎えている。
難しい年代設定のドラマだが、私は見事に「俺たちの旅」を締めくくったドラマに仕上がっていると思っている。
当HPのメニューからでも、各ページの下(このページもここ以下)に前ページのリンクがあるので、興味のある方は続きを見ていただきたい。
中村雅俊、田中健、秋野太作、金沢碧が織りなす壮大なドラマは何回も見直すたびに新たな発見がある。
尚、「俺たちの旅」ファンの皆様が書き込みをできる投稿欄を作成しました。(2019年5月19日)
https://yakume.sakura.ne.jp/oretachi/oretachinotabi-kakikomi/
「俺たちの旅」を愛する人たちの情報交換、思い出の場になればなによりです。
(「プロローグ」 終わり)
2019年2月24日