脚本家・畑嶺明さんを偲ぶ



畑さんからのメール公開

2023年10月12日、「俺たちの旅」脚本家・畑 嶺明さんが死去された。
この「俺たちの旅-鑑賞記録」HPを作成してまもなく、畑さんに見ていただき、
思いもかけず褒めていただいた。
そして「俺たちの旅」の思い出もメールで書いていただいた。
同年5月、畑さんが主宰していたアマチュア演劇団「演劇やろう会」の第10期公演「練馬版・父帰る」会場で、畑さんにお会いしていろいろお話をさせていただいた。
そこで鎌田敏夫さんや中村雅俊さんにもお会いできたのは忘れられない思い出だ。
このHPを作成してから4年半以上経つが、その間に何度か「俺たちの旅」再放送もあり、
昔のファンの人たちも忘れずに思い出す機会もあった。
ファンの書き込みも年々増えてきており、当初考えていた「俺たちの旅」ファンの止まり木的な役割は最低限出来てきた感があるが、それも最初に畑さんの励ましがあったからこそだった。
畑さんが亡くなった、というのは正直、今も受け入れがたい。

いろいろ考えた末、過去に畑さんから頂いたメールで、プライベートな部分を除いて、
差しさわりのない部分で、「俺たちの旅」ファンに向けたメッセージにもなる部分を、今回公開することにした。
私と同じぐらい熱い思いを持った「俺たちの旅」ファンと、畑さんのメッセージを永遠に共有したい。

(以下、畑さんからいただいたメール、差しさわりのない部分、公開)


■ 2018年2月22日
畑です。

俺たちの旅、いい作品でしたね。
あの頃は、脚本家として、かなり苦しんでましたが、今、思えば、思い切り青春してたんでしょうねえ。
よろしくお願いします。


■ 2019年2月25日

kamikawaさん、
鑑賞記録、読ませていただきました。
見事に俺たちの旅を語っています。感嘆しました。
オープニングのシーン、についての描写は斎藤光正監督が読んだら、まさにそれだよ、と言うでしょう。
鎌田敏夫さんにも、読んでくれるように勧めてみます。
ファンたちも、これを読んで、俺たちの旅の世界に浸るでしょうね。
ありがとうございました。
さて、
俺たちの旅のスタッフ、役者の交流は今だに続いています。
雅俊、鎌田さん、岡田プロジューサーをはじめ、毎年、何人かが集まって、まあ、あれやこれや楽しく飲んでます。
一番印象深い出来事は、
斎藤監督が脳梗塞で入院してるときに、そんな仲間たちで、病院にお見舞いに行ったんです。
監督は、意識があるのかないのか、ベッドに横たわったままです。
雅俊がギターを抱えて、監督の枕元で、俺たちの旅を歌ったんです。
僕たち、涙ぐんでいました。
歌い終わった雅俊が、看護婦に「もう一曲いいですか」と聞くと、看護婦は涙でうなづきました。
そして、ふれあい、を歌いました。僕たちも歌いました。
その時、監督の目から、スーッと涙が流れたように、私には思えました。
ぼくたちも、仲間たちも、泣きました。
ぼくは、あのシーンを一生忘れないでしょう。
それから数年後、
俺たちの旅のプロデューサー、中村良夫さんが亡くなりました。
雅俊は、お通夜、葬式には出られないとのことで、中村さんの自宅に言って、お棺のそばで、ギターを弾いて歌ったそうです。
雅俊はなんて暖かくていいやつなんだ!!
僕の知っている業界の人で、彼ほどの人物はいません。
ながなが失礼しました。
それでは、お元気で。


■ 2019年5月12日

観劇ありがとうございました。
(注:畑さん主宰:演劇やろう会・第10期公演「練馬版・父帰る」のこと)
また、上川さんの劇評、嬉しいです。
鎌田さんとも話せてよかったですね。
(プライベート内容につき、略)
最近、私も体調が悪く、つい、父の死にざまを思ったりして、私も大して変わらないのでは、と思ったりしてます。
劇団の芝居は、今回が最後ではないか、と思っています。まあ、先のことは分かりませんが。
(プライベート内容につき、略)
まあ、でも、人生いろいろ。つらくても人生。私など、まだまだ恵まれてる方だと思っています。
諦めずに、前を見て、頑張って行こうと思っています。
昔のドラマでよく書きましたけど「今を思い切り楽しく!」
その精神は、忘れたくありません。
上川さんも、いろいろあるでしょうが、今を思い切り楽しく頑張って下さい。


■ 2019年8月4日

上川さん、メッセージありがとうございます。
HP、アクセスが増えてよかったですね。
旅のファンにとっては、嬉しいものでしょう。
週刊現代の記事、鎌田さんからの連絡で、読みました。
未だに、旅をあんなふうに取り上げてもらって、すごい番組だったんだなと、改めて思いました。
HPまたジックリと読ませていただきます。


■ 2019年12月12日

メッセージありがとうございます。
暫く入院してました。
体調はまたまだです。
俺たちの旅のファンが沢山いて、そういう集まりがあるのはとても嬉しいです。
私も機会があれば参加したいですが闘病はまだ続きそうですので。
お元気でお過ごしください。


以上が、畑さんからいただいた貴重なメールである。

(畑 嶺明さんと”奈美ちゃん”水沢有美さん)

畑さんが「俺たちの旅」について熱い思いで語ってくれた日のことが、
未だに昨日のことのように思い出される。
畑さん。
本当にありがとうございました。

合掌。

(「脚本家・畑嶺明さんを偲ぶ」  終わり)


2023年11月5日


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