1. Little Prayer
絶望。
暗黒の空間を彷徨い続けている。
外は銃声が鳴り響き、狭い部屋に幽閉される長い日々。
食料も尽き、助けも期待できない。
かつては眩い太陽の下で自由に街を闊歩できた。
白い石壁の連なる美しい町並みで、姉とダンスに夢中だった日々。
暗黒が自分の永遠の住みかになるという恐怖。
目を閉じると、真っ暗な黒い部屋の壁。
闇に完全に飲み込まれる強烈な不安。
それが現実となる日が近づいているという確信。
少女の胸は静かに押しつぶされていく。
かつての楽しい時間が今はただ愛おしい。
手にした人形に強い願いを込める。
小さい頃から可愛がった人形に祈ると、死んだ後に好きな場所に生まれ変わって幸せになれるという言い伝えがあると、
大好きな母親から聞かされた。
今や死臭がうっすら漂う気配で、鬼気迫る表情で祈りを続ける。
薄れる意識の中で唯一できることは祈ること。
胸が苦しくなってきた。
部屋の隅に飾ってあった赤い薔薇を何本か花瓶から取り出した。
“綺麗な女の子のままで居たい”
部屋はいよいよ暗くなり、厳かな民族音楽が微かに聞こえてきた気がした。
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