ガラス箱の放浪


高速道路が高層ビルの谷間を抜ける。
高架下を吹き抜ける真冬の風は、体も心も凍てつく。
何もかもが凍りつく街角で、探し物を求める少女。

ガラス張りの無人のビル。
都市機能の神経線は無機質に張り巡らされ、人々を監視しているようだ。

少女が信じられるものはこの街には見当たらない。

微かな人の息を求めて歩き続ける。

暗がりの仄かな光。
わずかに感じる息遣い。
ここで少女は眠りにつく。

(終)


2013年2月16日
Model :kanoko


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