Fujifilm X-T3評価レビュー – AF性能進化版


X-T3登場 : 新イメージセンサー・新画像処理エンジン搭載

X-T3が2018年9月20日に発売された。
X-T2の進化版ということで、X-H1に搭載されているようなボディ内手振れ補正機能はなし。
裏面照射型の新開発イメージセンサー「X-Trans CMOS 4」はXシリーズ第4世代目となり、画素数は2610万にアップ。
画像処理エンジンも「X-Processor 4」と進化し、動体追従性の大幅な向上や、あらゆる被写体を確実に捉える高速・高精度AF機能アップや画質向上、そしてシネマカメラに匹敵する本格的な動画機能も搭載した強力なエンジンだ。

特筆すべきはAF性能で、位相差AFの低輝度限界を従来の-1EVから-3EVへ拡張している。
静止画専門の自分からすると、暗めのスタジオなどでAFが合わず苦労したことが多々あったが、この進化は大歓迎だ。

発売日にX-T3を購入して、テスト撮影をしてきた。そしてX-T2との比較撮影も行った。
X-T2との比較では改善点を、そして新機能について人物撮影でチェックしてみた。

1.顔・瞳認識比較
  i. 暗部のAF性能向上
   ii.. 瞳AF
  iii. 動体追従AF
2. 新フィルムシミュレーション「ETERNA」
3. X-T3注意点

1. 顔・瞳認識比較

i. 暗部のAF性能向上

今回の撮影は周りをマンションに囲まれた木造2階建ての一軒家を借り切っての撮影。
時間は13:00-16:00だったが、室内は暗め。
ISO800を中心にストロボEF-X500をマニュアル調光で適宜光量調整をしながら撮影を行った。
ほとんどの撮影が暗部AFといってもいい状況だった。
そういった中で顔検出ON/瞳AF AUTOを使うか、OFFにしてAFエリアを自分で定めて撮影の2パターンで撮影を行ったが、今までよりも暗い場所での撮影にも関わらず、AFが認識できないケースは各段に減った。
以前、他社のフルサイズ一眼レフを使っていた時も暗部はかなり迷って非常に苦労したが、X-T3ではかなり暗部のAFはブレークスルーしたと感じた。

ii. 瞳認識

瞳認識は、正面から顔をだんだん横を向いてどこまでの横顔まで瞳認識ができるか?
試してみた。
結果は、X-T3はここまで頑張れた。

X-T2 はこの角度まで。
瞳認識の向上を感じさせられた。

iii. 動体追従AF

動体といっても、高速で走る車を追うわけでなく、歩いて近づいてくる人物撮影なので、それほど高度な内容ではない。
とはいえ今回は暗い場所の撮影なので、そちらの方がカメラにとっては難関だったと思う。
私の撮影はこういうのが多いので、自分的には実践的な機能だ。
AF-Cモードで、顔検出/瞳認識ONはX-T3の新機能だ。
X-T2ではAF-Cモードでは顔検出のみで瞳認識はできなかった。
人が歩いてくるシーンを、X-T3では顔検出/瞳認識ONで、X-T2では顔検出のみONで、比較撮影してみた。
暗い室内なので、AF性能も試される難易度の高い状況だ。

2. 新フィルムシミュレーション「ETERNA」

X-T3では、新フィルム・シミュレーション「ETERNA」が追加された
派手な色や個性的な彩度バランスのシミュレーションが好まれるが、レタッチする人間にとっては、彩度が破城したりしないようフラットな色合いを用いる。
富士フィルムの場合では、Neg-Stdがそうだ。
またレタッチしなくても、彩度の低いものを好む人も多いだろう。クラシッククロームが最たるものだ。特に海外ではこの色合いが良く使われているようだ。

「ETERNA」は、最も彩度が淡い。参考までにクラシッククロームとNeg-Stdを比較画像として並べてみる。

クラシッククローム

Neg-Std

ETERNA

ETERNAは一見地味だが、クラシッククロームなどとは違った位置づけで、個性を確立していくのだろう。
レタッチ派は、彩度を落としてから作業を始めることが多いので使用される人も多いかもしれない。

3. X-T3の注意点

i. USBがType-C.

さっそくRAW現像ソフト、FujifilmX RAW STUDIOでカメラ現像をやろうと思ったがX-T3のUSBインターフェースはTYPE-Cと、X-T2のMicro-Bから変更になっていた。
自宅にTYPE-CのUSBがなかったので、別途ネットで購入するはめに。すぐに現像できなかったのは残念だ。
X-T3を購入する際はUSB TYPE-Cも購入することをお勧めする。

ii.新機能の呼び出し方

カラークローム・エフェクトやモノクロ温・冷黒調)のような新機能は、撮影をしていて直観的に、フィルム・シミュレーションあたりから呼び出せそうに感じるが、どこを操作しても見つからない。この機能に限らず新機能が充実してきていて標準で簡単に呼び出すのは難しく���っている。
X-T2はボタンが多いので、自分の好きな機能を絞って、クイック・メニューかファンクション(Fn)登録する必要がある。

iii. RAW FILE CONVERTER EX3.0

RAW FILE CONVERTER EX3.0を早速ダウンロードして使用した。
しかしながら、現バージョン(本日時点で最新版)では読み込めないRAWファイルが多かった。
初期バージョンなので早期に解決されると思うが、ただでさえFujifilm RAW STUDIOの登場で影の薄くなった(?)RAW FILE CNVERTER EX、利便性や機能の多彩さで引き続き存在感を出してほしいと思う。

以上、新機能を中心にX-T3を使ってみた。

(X-T3.XF16-55mmF2.8 R LM WR Neg-Hi)

(X-T3.XF16-55mmF2.8 R LM WR Neg-Hi)

(X-T3.XF35mmF1.4 R PROVIA)

ミラーレス一眼はキャノン、ニコンがいよいよ参入してきた。
そんな中、富士フイルムはXシリーズでAPCを、中判フォーマットでGFXシリーズを展開している。

私のようにWebやPCで観賞を楽しむ分ではXシリーズの画質で十分だ。
そして色合いや線の表現が、人間の眼で観賞する際の大切な点だと感じる。
その点、富士フイルムカメラが作る画像の味わいは、直観的に多くの人を魅了するものであると思う。

X-T3で暗部のAF性能や動体追従の向上がされたのは喜ぶべき点だ。
いつまでも富士フイルムカメラファンのために正常進化を続けてほしいと願う。

(終)
2018年9月23日
撮影協力:ルナさん Instagram ID : @oningyosan666

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