「俺たちの旅」脚本家・畑嶺明さん死去のニュースを聞いて、10月下旬にドラマゆかりの地、井の頭公園と、間もなく撤去と言われる三鷹駅付近の跨線橋に行ってきた。
井の頭公園を訪れるのは久しぶりだ。
「俺たちの旅」でよく使われていた橋の下。
井の頭公園は家族連れで溢れていた。
平和な都会の昼下がり。
ゆっくりと時間が流れていた。
５０年近く前のドラマを思い浮かべに来たのだが、小さな子供の家族連れや若いカップル、
私と同年代の夫婦が今日もここを散策しながら”小さなドラマ”を綴っているんだな、と思うと心が安らぐ。
そう、人々の人生ドラマは途切れることなく刻み続けていく。
その息吹を感じることで、辛いことがあっても前に進むことができる。
公園を出て、三鷹駅の橋に向かう。
ここの橋にも小さな子供を連れた家族連れが多くいた。
橋の下を通り過ぎていく電車を見られるのが、子供たちにとっては貴重な場所のようだ。
この橋の上で「俺たちの旅」の撮影が行われたが、もともとは太宰治のお気に入りの場所ということで有名な橋だ。
この日は曇りで、残念ながらドラマのような夕陽はみられそうになく、ひとしきり橋からの景色を目に焼き付けて駅に戻った。
橋の撤去は残念だが、これも年月の流れで仕方ない。
この橋で夕陽をバックにたくさんの電車が通り過ぎるのを見た子供たちの頭の中には、
いつまでもまばゆい光景として残っていくのだろう。
(終)
2023年10月21日
