Fujifilm XF50-140mmF2.8 Rレンズ・レビュー



富士フイルムのミラーレスカメラ望遠ズームレンズ、FUJINON XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR(以下、50-140mm)を購入してから数か月が経つ。夏から動物撮影も始めていたので、もともと動物撮影用に使い始めていたが、2週間ほど前にポートレート撮影に使い、本日2回目のポートレート撮影を行った。前回の撮影では50-140mmにXF16-55mmF2.8 R LM WR (以下、16-55mm)、XF56mmF1.2 R(以下、56mm)を交えて撮影した。
そして本日は、16-55mmと50-140mmで撮影してみた。

カメラはどちらもX-T2。
撮影は2回とも屋外。どちらも背景が明るく服装は黒系の服装の人物だったので、
この条件の撮影時の露出の気配りや画質の個性で気づいた点を書いてみる。

光学的な専門知識がないので、撮影経験の上の感覚的な説明になることをお断りしておく。
2回のポートレート撮影経験を通じて、50mm近辺での画質の比較、そしてそれぞれのレンズの全体の特徴につついての感想を書くことにする。

 

1. 明暗差の個性

のっけからネガティブな感想を先に書く。
50mm近辺の、16-55mm,56mm, 50-140mmの比較でいうと、ダイナミックレンジの傾向や微妙な明暗の階調差を感じる。

ポートレートなので、主題は中央の人物だ。背景の明るさはこの場合、二の次である。
つまり画像全体の明るさのバランスは、風景画観賞とは異なる。
あくまで人物撮影におけるレンズの個性比較として捉えてみる。

主題である被写体と背景の風景の明暗差がある今回の撮影で、50-140mmは、最も服や髪のシャドー側の粘りがなく黒つぶれをしていた。
露出補正も当然しているのだが、やはり全体的な明るさのバランスは、16-55mm,56mmとは違う。
これは人物撮影で人物の服、特に黒い服の階調を気にしている側からの表現になるが、おそらく画面全体の明暗バランスのとり方がレンズにより違っているのだろう。
階調の繊細さは、16-55mmや56mmとは劣る印象だ。

50-140mm. F4/50mm.

 

50-140mm. F2.8/54mm

 

16-55mm. F2.8/50mm.


50-140mmと比較すると、黒コートや髪周りのディテール表現の違いがわかるだろう。

50-140mmでこれぐらいの人物の大きさで逆光撮影だと、16-55mmや56mmに比べると露出も上げないといけないし、服や顔の部分の黒い部分のつぶれ方や繊細度合いは16-55mmや56mmに比べると落ちる印象だ。

2. XF50-140mmの醍醐味とは?

ポートレート撮影にあった焦点距離は、一般的に35mm判換算で、35mm, 50mm, 85mmと言われている。Fujifilmの今回の対象レンズ50-140mmは、35mm判換算だと76 – 213mm相当だ。
このレンズは、ポートレートの強みである35mm判換算75-85mmが広角側でカバーされている。
F2.8なので35mm判換算85mmあたりだとボケはもちろん相応に表現される。

しかし私の感覚では、50-140mm領域のうち、70mm以上の望遠領域でこのレンズを積極活用するのがよいと考える。
16-55mmや56mm等の単焦点レンズに比べると、繊細度や色のにじみ(とまでいわないだろうが)加減は、よく言えば若干ワイルドだ。
被写体を大きく切り取り画像中央に配置し、存在感を浮きだたせる絵。
これが50-140mmには一番、強みが出せる。

また明るさが十分あり、望遠レンズならではの遠近感を強く出した絵は、主題も背景もダイナミックに表現され、力強さを感じさせる仕上がりになっている。

50-140mm. F2.8 / 106mm

 

50-140mm. F7.1 / 59mm

絞りを開放にしなくても、遠近感は十分に表現できる。

50-140mm. F4/94mm

 

50-140mm. F2.8 / 94mm

もちろん、絞り開放での被写体の浮き出かたは、秀逸だ


50-140mmは、綺麗に被写体と背景のバランスを整えた写真でなく、背景を遠方に押しやって、
被写体をぐっと力強く浮きだたせる、そんな絵作りを手助けしてくれるレンズだ。


(終)


2017年12月2日

モデル協力:ハジメ ナウ. Twitter ID : @viiistart

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