Travelin’ “Blues World” – Japan –



Got the Blues

7月上旬、Blind Lemon Brothersは日本に戻ってきた。
私が明三さんに出会ったのは帰国して間もない数日後のことだ。
七面鳥カフェでマスターの紹介で会って、アメリカのツアーのことやブルースについて長時間
いろいろ話を聞かせてもらった。
そしてその時から二か月を経て、9月8日、関内の「Stormy Monday」でのライブ,
9月17日七面鳥カフェの明三さんのソロライブを撮影した。

「Stormy Monday」のライブでは、MCも全く行わずノンストップでスピードあふれる演奏は強烈なインパクトだった。
太郎君の幼少から吹き続けている本能的なハープの演奏は、まるでハープが体の一部の機能であるかのようだ。
力強い息吹がそのままメロディになり広大なアメリカ中部を貫く列車のごとく駆け抜けていく。
目をつぶるとミシシッピやテキサスの光景が自然と想像できるような表現力だ。
明三さんのギターもブルースの表現力に満ちている。
ベース音でリズムを刻みながら、ボーカルとシャッフルが絡み合っていく。
一人三役だ。

長年ブルースを愛し続けた年季は、説明の余地もなく、聴くものに対してブルースの真髄を訴えかける。
難しいことを考えなくても、ブルースの世界がどこか彼方への旅へ連れ出してくれる。



関内「Stomy Monday」。店の看板がライブが始まる前の高揚感を煽る。


明三さんが登場。音合わせをしてほどなく演奏は始まった

 

感心するのは非常に息の合った演奏の絡みを無言で行っている点だ。
さすが長年、親子で演奏を続けているわけである。他のバンドでは決して真似できない呼吸だ。

 

満員の会場のお客さんからは大喝采で演奏は終了した。
余韻さめやらぬまま会場を出ると、暑さの抜けた乾いた風が心地よかった。


9/17 – 七面鳥カフェ・ライブ

こちらは9/17七面鳥カフェの明三さんのソロ・ライブ。
Robert Johnsonの楽曲を中心に行われた。

 

 

ライブが無事終わった直後の後ろ姿。
夜11時を過ぎたあたり。

そして明日も新しい日々が訪れる・・・
素敵な夢を見させてくれたブルース・マンに乾杯だ。

(終)


 

撮影後記

アメリカの画像は全てBLBの二人が携帯電話についているカメラで撮影したものだ。
最新の携帯電話でなく古い型なので、最近のデジカメで撮った写真を見慣れている人からするとかなり画質は劣る。
明三さんから携帯電話のメモリごと渡されて500枚以上の画像を最初見たときは、正直どうしようか?と悩んだ。
しかし画像を通して感じとれる旅の風景は十分凄味をもって伝わってくることにすぐに気がついた。
まるで’30年代のブルースを昔のレコードそのままに蓄音器を通して聴いているような気分だ。

BLBの紹介ページ。最初に明三さんと、七面鳥カフェ/レコードのオーナーと
三人で話し合ってから2カ月以上かけてやっと完成にこぎつけた。
お二方の協力に心から感謝する次第である。

関内の「Stormy Monday」、青山の「七面鳥カフェ」でのライブ。
いずれも演奏が終わって店を出たら12時近い時刻だった。
店を出ると、9月の深夜は心地よい空気と夜空が出迎えてくれた。

「ブルースは旅の音楽」

大昔のアメリカのブルースマンは地元を出て、列車の線路を歩いて都市まで
歩いて旅をしていた、と明三さんから聞いた。
ブルースに旅の詞が多いのも、ブルース・マン自身が旅の連続だからだ。

一人のしがない聴衆も、日々小さな旅の連続なのかもしれない。
全く恰好のよくない旅を毎日続けているのだろう。

深夜一人で帰路に向かう途中、列車の線路をとぼとぼ歩くブルースマンの光景を思い描いてみた。
そこにギターと歌があれば、明日たどり着くであろう新しい街も、希望に満ちて見えたに違いない。


(終)


2009年9月


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