長い旅の終わり




今週はシカゴに行ってきた。
片道12時間の道のりと15時間の時差は、長旅を感じさせるのに十分だ。

急遽旅だった目的はただひとつ。
長年一緒に仕事をしてきた仲間に直接会って”Good-Bye”を言いに行ったのだ。

シカゴに行ったのは2回目。
約6年半前。
その時は、今の仲間に”Hello!”と挨拶に来て、お互いを見定めるためだった。

この6年半は、自分にとって前人未到の苦闘の旅の連続だった。
自分にとっての唯一最大のモチベーションは、日本にいる仲間、そしてシカゴに来ている仲間、
特にアメリカの中核2人の仲間を喜ばせたいだけの一心だった。

振り返ると、人間の精神のリミッターも振り切ってすり減った時期もあったが
(幸いにも当時はそれに気付かずに通りすごした)、いろいろな経験をやり過ごし、ここに力尽きた。

実際、今まで世界中のいろいろな人間と仕事をしてきたが、間違いなくこのアメリカのトップ2人は、
リーダーとしても人間としても最高の二人だ。

仲間としては最高だが、敵に回すと最高に手ごわい”ギャング”だが、今回の私の決意を、
遠く離れたアメリカから、彼らは私の心を手に取るように理解して、快く私の別離を受け入れてくれた。

心が通った人間同士は、不思議なことに遠く離れていてわずかな会話でもお互いの心の揺れまで伝わりあうのだ。

偉大な男たちが私にかけてくれたねぎらいの言葉は、
私の伸びきった心の琴線を揺さぶるには十分すぎる言葉だった。
これからのことを話し合い、最後に彼らと泣きながら抱き合って、
しばしの別れを惜しんだ。

素晴らしい男たちよ。
本当は一生、彼らと一緒にやっていきたかった。
その無念さをせめてもの慰めに、新しいエネルギーへと変えていくことにする。

この6年半は、七転八倒の連続の時間だった。
この間に出会ったすべての人達に感謝と御礼の言葉を申し上げる。


私にとって、これから一か月半は、しばしさまざまな呪縛から離れた
久しぶりに心を休めるひと時となる。

しかし、私にはもう次の”戦争”が決まっている。
この一ヶ月半は、休んでいるふりをしながら、マシンガンに新たな”銃弾”を詰め込んで、
アドレナリンをみなぎらせて4月1日に新たな”戦地”に降り立つのだ。

(終)


2011年2月17日

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