富山旅行 - Part 3 – 古本と珈琲「ジンジャーラーメンブックス」


古本と珈琲「ジンジャーラーメンブックス」

”夜更かし文化“を若い人たちに伝えたい


もう1軒は風変わりな店で「ジンジャーラーメンブックス」といって、元ジンジャーラーメンというラーメン屋が閉店した場所を借りて、そのまま喫茶店+古本屋にしたというユニークな店だ。
なので紛らわしいが、ジンジャーラーメンは喫茶メニューには出てこない。
店内の喫茶として出している食事メニューはカレーだ。

こちらも店内は広くはない。本を見るとこだわりの古本の数々だ。
店内奥の階段そばの棚には、江戸川乱歩や夢野久作の作品集から、オカルト、ホラー系が並び、お店のこだわりをこの一角から感じた。
購入本を選ぶとカウンターに座り、カレーとアイスコーヒーを頼んだ。

やはりカレー、珈琲、本は文化の3点セットだ。

今や日本全国、味わいのある喫茶店が減り、代わりにファーストフードやカフェ・チェーン店の安価だが狭い店内にぎゅうぎゅうに座らされるスタイルが主流だ。
皆、耳にイヤホンを差し込み、無表情な顔で一様にスマホの画面を眺めている。
カフェだけでない、電車の中でも同じ光景だ。
味わいのある空間で一人物思いにふけったり、本を読む。
そんな時間の過ごし方は今とても貴重だ。

店長さんと本の話で盛り上がる。
私の写真サイトも見て頂いたりして、話は地元の演劇にも及ぶ。
旅先の、初めて訪れた店での人との交流。
しかもたまたま見かけた雑誌の記事が縁だ。
奇跡の出会いである。
訪れた甲斐があった。

店長さんは、“富山に夜更かし文化を広めたいのです”と、おっしゃっていたのが印象的だった。

こういう個性的なお店は、必ず店長さんに強い志があるものだ。
ただ単に雰囲気のある喫茶店の外観を作るのはそう難しいことではないだろう。
お店の人の強い”意思”が店内の”空気”を作り、波長の合う人達が導かれるように”お客さん”として店内に入ってくる。
こうして個性的なお店はお客さんと共に作られていく。

”夜更かし文化“を若い人たちに伝えたい。
いい考えだ。
その想いが店内の雰囲気にしっかりと現れている。

夜更かしするとすれば居酒屋等酒を出す店ばかりだ。
酒も飲まず、一人で静かな珈琲店で本を読んだり、仲間やお店の人と会話をする。
決して孤独な気分にはならず、逆に気持ちは熟成されて充実した気分で家路にむかえる。
食事をして店長さんと長話をしていると、すっかり外は夜。
ふとガラス張りのドアの外を見ると、一匹の猫が門番のように座っている。
お店で手なずけている(?)ネコで、”ニャジラ”という名前で皆から親しまれているらしい。

”このお店は冬にまた来てみたい”
暗い店内を眺めながら、そんなことをぼんやり考えていた。

ジンジャーラーメンブックスは、最終日にもランチに立ち寄った。
こういうお店は今後もぜひ応援したいものだ。



(Part 4へ続く)

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