旅の動機
亡き父の故郷・富山へ3日間出かけてきた。
久しぶりの旅行である。
といっても何かしたいことや行きたいところがあったわけではない。
せいぜい黒部渓谷のトロッコ電車にまた乗りたかったぐらいで、後は現地で何を過ごすか?考えることにした。
読みたい本もたくさんKindleに電子書籍として詰まっている。
旅の目的は、仕事の区切りも付いたので頭と命の洗濯だ。
観光地巡りに時間を詰め込みたくない、と漠然と考えて飛行機に乗った。
富山についた日は雨。
思えば北陸新幹線開通後に富山に来るのは初めてだ。
駅全体が綺麗で立派になっている。
駅前も整備されており、大きなロータリーが作られ、以前の面影がない。
こうしてまた一つ、幼少の頃のセピア色のおぼろげな思い出は、無機質な建造物でかき消されていく。
古本屋さんとの出会い
昼前に到着してまずは腹ごしらえ。
富山駅のすし玉で寿司を食べてもホテルのチェックインまで時間もあるので本屋に立ち寄ると、1冊の雑誌のタイトルが目に入った。
雑誌「POPEYE」のタイトルは「君の街から、本屋が消えたら大変だ!」。
ページをめくると、なんと富山の本屋が2軒、紹介されている。
しかも富山駅から近く今からでもすぐに行けそうな距離にある。
興味をそそられ、ホテルにチェックイン後、行ってみることにした。
観光もせずに地元の本屋や喫茶店で時間をつぶす。
そっちの方が自分に合っている。
立山でライチョウを見つけたような興奮を一人で勝手に覚え、ホテルの部屋を出て、
まだ雨がしとしと降る中、歩き出した。
2軒とも富山駅から市電で数駅離れた中心街から徒歩圏だ。
(Part 2へ続く)